ハンカチ王子こと斎藤佑樹との甲子園での熱戦を通して列島にフィーバーをもたらした田中将大。そんな田中将大のプロでの今後の活躍をピッチングスタイルを通じて占ってゆきます。
駒大苫小牧高校2年次には、最速150km/Hを記録。この年には甲子園で怪物級の活躍を果たし、甲子園も連覇。高校3年次には怪我の影響もありながらも、早実・斎藤佑樹との「ハンカチ・マー君対決」にこそ敗れるものの甲子園で準優勝‥などなど、高校野球界で燦然と輝く実績を残してきました。
速球に威力があり、ストレートの最速は155km/H、平均球速は140km/H台後半。プロ1年目こそ、この速球に最速141km/H、平均130km/Hの高速の縦スライダーを武器に投げ込んできましたが、ストレートとスライダーなどの変化までの軌道が同じコースを辿っていたことから、プロの打者にも見究められると、奪三振数の多さと比例して与四死球数も上昇していました。これでは先発投手として試合を組み立て、また、楽天のような弱小チームで勝利を得ることは難しいため、フォーク、カーブ、横スライダー‥などの“定番変化球”は勿論、シュート変化をしながら打者のバットの芯をわずかに外して沈むツーシーム(ツーシームファストボール)などで小さい変化を多めに投げることで、打ち取って試合をつくれる先発型ピッチングスタイルを確立しつつあります。
このように基本的なピッチングスタイルでは“無双”に近づきつつあります田中将大をですが、唯一の気がかりが、その登板過多にあります。高校時代は甲子園、プロに入ってからは弱小チームでシーズンを通してフル回転している印象です。
これは根拠のないことではなく、田中の投球回数はプロ1年目から3年目以降まで180イニング超を記録しており、4年目の2010年にはさっそく怪我がちになってきたのか120イニングにまで減少しています。怪我がちな体質も考え合わせると、今後は投球回数を抑えながらいかに自己の肉体をセーブしていくかが、大器である田中の今後の活躍は勿論のこと、投手生命自体を占う意味でも重要となってくるでしょう。